『サービス』
〔service〕
1 物を直接作ったりするのではなく、生産者・消費者のために必要な便益を提供すること。金融・商業や交通・通信及び教育・公務・医務・自由業などを含む。
2
(1) (無料)奉仕。〔狭義では、アフター サービスを指す〕
(2) 得意・来客が満足するような、心のこもった応対をすること。
(3) 〔商店などで〕値段を安くしたり 景品を添えたり して売ること。また、景品として添える品。〔狭義では、飲食店が一定の△時間(時日)に行う廉価提供を指す〕
───三省堂 国語辞典より 抜粋───
金額が決まってるようで
実は全く決まっていない…。
それがサービスであり、
それを提供する職業を「サービス業」といいます。
サービスを日本語に直すと『奉仕』。
『奉仕』とは
1 報酬を度外視して国家・社会・人のために尽くすこと。
2 商人が安い値段で品物を売ること。
───三省堂 国語辞典より 抜粋───
とあり、
「タダ」「無料」とは一切書いてません。
もし、無料でサービスを提供する場合、
業者は『無料サービス』と提示してサービスを行います。
サービス…
と聞いて、
みなさんはつい「タダ(無料)でやってくれるもの」
なんて
思ってませんか?
何もかも「無料」でやっていては、
わたしのように「サービス業」で生計立てている人たちは
生きていけなくなってしまいます。
では、
そのサービスの値段…。
これはどうやって決めるのでしょう?
じつは、
これはそれぞれ様々です。
サービスひとつを例に挙げても
ピンきりの相場です。
たとえば、美容院。
すっごく安いところもあれば、
何万円もするところもあります。
「安ければ安いほどいいわ♪」
と言う人も居れば
「高くても、技術が素晴らしい○○さんに切ってもらいたい」
と言う人も居ます。
どっちがいい・悪いサービスかは
消費者が決めることです。
自分が「気に入らない」と思ったサービスなら
自分が「気に入る」サービスをしてくれる美容院へ行けばいいだけのことです。
何も美容院が世の中に1軒しか無いわけじゃないのですから。
サービス業の人たちは
お客様に喜んでもらうために
加えて自分の店の運営存続のために
様々なサービスを考え提供します。
そのサービス料が
消費者側から見て
「安い」か「高い」か
「良い」か「悪い」か
「うれしい」か「うれしくない」か…
という感覚も、
結局は消費者の感覚ひとつで変わるものだと思います。
そりゃあ…
中には「悪質」なサービスをふっかけてくる業者も居ますが、
それを見極めるのも
結局は消費者にも責任があるはず。
まっ、
それはさておき…
真面目に運営しているサービス業者側のサービス。
業者側は「お客が喜んでくれる」と思って
企画して実行したサービス。
ですが、
十人十色という言葉があるように
必ずしもみんながみんな「素晴らしいサービスですね」とは言ってくれません。
業者側もそれは重々承知。
なので、
業者側にとって「辛口」な消費者の意見も
サービス改良の反省点として検討しながら次のサービスを考えます。
ですが、
ここで難しいのは
「店の根本的なサービス」を曲げてまで…
の、サービスは出来ないということです。
お客が
「あれが気に入らない」
「これも気に入らない」
と、
どんどんいちゃもん付け始め、
店側がそれに振り回されすぎて
本来のサービスが出来なくなってしまったのでは、
結局は
本来のサービスを楽しみにしているお得意様がやがて逃げてくわけです。
サービス業に『お得意様』『常連様』が居るのは当たり前。
その人たちは
そのお店のそのサービスが「良い・楽しい・好き」などという
プラス思考だからこそ
そのお店を毎回利用し、
やがて店側から言えば『上得意様』となるわけです。
『上得意様』を手厚くおもてなしするのは当たり前のことです。
何故なら『上得意様』が居るからこそ
お店が成り立つのです。
かといって、
ご新規のお客様をないがしろにしてる…というのは
ないはずです。
ですが、
初めて行ったお店の雰囲気が自分に合わなかったのなら、
それは「そのお店のサービスが自分に合わなかった」ということです。
でも、だからといって
「あのお店のサービスは悪い」と、すぐ決め付けるのは…
果たしてどうなのでしょうか?
たとえば、上得意様たちが
「最近サービス悪いよ」っと言い始めたら…
それは本当にサービスの質が低下してるのかもしれませんが…。
さて、
では、サービスを提供する側。
わたしもそうですが、
最初は手探りの状態から始まります。
根本的な方針・サービスは変えてませんが、
時に、時代の流れと共に「変化」させなければいけないサービスもあります。
ですが、
サービスをコロコロと変えすぎて
結局「何を提供したいのか?」ってことになったのでは
経営が成り立たなくなる原因にもなりますし
客離れの始まりにもなるのです。
時に無茶苦茶なことを言う客も居ます。
ですが、
店のことを本当に気に入って通ってくれる客も居ます。
とんでもない無茶苦茶な「雑なサービス」さえしないようにすれば…、
常に「初心」を忘れない良心的サービスに努めていれば、
店の『良い評判』のほうが勝り、
世間様が認めてくれるのですから。
サービス業というものは
「今」を見つめると同時に
「何年後も先」をも見つめる『先見の明』が大事です。
いづれにせよ、
サービス業、サービスというものには「決まった価格」が無いだけに
難しい部分がたくさんあります。
ですが、
変な道にさえ行かなければ、
人々を幸せにする
素晴らしい業種なのです。
わたしも「サービス業」のひとりです。
サービスを提供する側の大変さは痛いほどわかります。
それだけに、
サービスを受けとる側の意見が、
時にグサッ…と痛いのも確かです…。
ですが、
それでもわたしは「サービス業」を続けます。
この仕事が好きですから。